薩摩らしさが車窓にかがやく、優雅でたのしい黒列車
黒酢、黒豚、黒牛、黒砂糖、黒薩摩焼…。薩摩の「よかもん」は重厚な黒に彩られています。はやとの風も漆黒のボディに金のエンブレムがキラリ。床、壁、座席には木を使用し、みんなで使えるコモンスペースも完備。ぬくもりと楽しさに満ちた観光特急で行きましょう。
●列車名の由来…古代の薩摩・大隅を舞台に活躍した隼人族。勇壮果敢な南の民は、海・山を舞台に独自の文化を築きました。彼らの血は今を生きる薩摩隼人の「ぼっけもん精神」に受け継がれています。隼人たちの駆けた鹿児島を吹き抜ける風のように爽やかな観光特急に「はやとの風」と名付けました。
鉄道の歴史と誇りを体感する、壮大な峠越え観光列車
力強いディーゼルの唸りを楽しみながら峠を越えましょう。古代うるし色のボディに金のエンブレム。車内には木製のベンチシートをあしらいました。日本三大車窓を行く列車にふさわしく、パノラミックスペースを装備。明治の伝統を引き継ぐ壮大な車窓風景をご一緒に鑑賞しましょう。
●列車名の由来…鹿児島、宮崎と熊本以北を結ぶ肥薩線の人吉~吉松間は天下の難所。明治期に、国家の威信をかけて鉄道技術の粋を集めた難工事が行われたのです。当時の工事責任者であった逓信大臣、山縣伊三郎と、鉄道院総裁、後藤新平の名前をとって、鉄道の歴史と誇りを体感する観光列車に「いさぶろう号・しんぺい号」と名付けました。
定期便として現役最古の国産蒸気機関車が力強く牽引する豪華列車
胸に響く汽笛の音・・鼓動のような蒸気の振動を伝えながらSL人吉は走る。8620型蒸気機関車(58654号)は1922(大正11)年、日立製作所笠戸工場の製造。大正・昭和初期に純国産の旅客用機関車として量産され、日本中で活躍した通称ハチロクである。58654号は門鉄局に配属された生粋の九州育ちで、お召し列車を牽いた栄光に輝く。小柄な割に大きな直径1.6mの動輪三個を先輪1個が誘導する高速向けの足回り。明治期に大量に輸入された外国製の蒸気機関車を乗りこなし、保守管理するうちについに国産の大型機関車を作れるまでに成長した日本の技術の証でもある。C57、D51などと称される前の古い形式の機関車が、定期便として現役で駆け抜けている。ともに鉄道遺産といえる貴重な機関車で肥薩線を旅していただきたい。
●「車内の楽しみ方」
大正生まれの8620形蒸気機関車が牽引する、豪華で美しい観光列車。展望ラウンジからの球磨川沿線の眺めは格別です。
・ 展望ラウンジ(1号車・3号車)
高級感あふれるメープルウッドやローズウッドのインテリアに包まれたサロン展望室。心地よい椅子に腰かけて贅沢なひとときを。(最後尾ではパノラマ・ビューを楽しめます。)
・ ビュッフェ(2号車)
軽いお食事やお飲み物、オリジナルグッズなどを提供する。木に包まれたシックな空間に集まれば、素敵なカフェタイムが待っています。
豊かな渓流を遊覧する野鳥のごとく優雅に走る列車
球磨川の澄んだ水面をイメージした青の「かわせみ」と球磨地域の森をイメージした緑の「やませみ」。内装には人吉球磨産のひのきや杉、八代産のい草を使用し、自然の香りとぬくもりが感じられるつくりとなっています。車窓からは、天候がよいとエメラルドグリーンに輝く水面を楽しむことができ、自然美をのんびり贅沢に堪能できます。
●列車名の由来…四方を山々に囲まれた人吉盆地。その昔、船路をつくるのも苦難を極めたという球磨川。人々の往来が厳しい時代にも、沿線を自由に旅したであろう野鳥翡翠(かわせみ)と山翡翠(やませみ)から名付けられています。車両は、「いさぶろう号・しんぺい号」の運行する急こう配が続く山線に対し、急流球磨川に寄り添う自然豊かな川線をイメージしたデザインとなっています。